社長へ
毎月、社長の「経営の力」と「現場を動かす力」を少しずつ強くするための便りをお届けします。
今月は記念すべき第1回。まずは「ITは怖くない」ところから始めます。読み物としてではなく、
必要なところだけ拾い読みしてください。難しい言葉は一切使いません。
この便りはパソコンでもスマホでも、いつでもこのページ(URL)から見られます。
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01
ITへの苦手意識を、なくしていく
マインドセット
「電話した方が早い」——その気持ち、よく分かります。でも今は、その“早さ”が会社の足を引っぱり始めています。
◆ いま、ITを避けると何が起きるか(3つのリスク)
① 利益が見えない
店ごと・商品ごとの儲けが分からないまま値段や人を決めると、知らぬ間に赤字が膨らみます。勘だけの経営は、もう通用しません。
② 人が育たない・残らない
連絡や教育が口頭頼みだと、新人がすぐ辞め、ベテランに負担が集中します。若い人ほど「仕組みのある会社」を選びます。
③ お客様に見つけてもらえない
今のお客様はスマホで店を探します。ネット上に情報がない店は「無い店」と同じ。競合だけが選ばれます。
◆ なぜ「苦手」と感じるのか
苦手の正体は、能力ではなく「最初のひと手間でつまずいた記憶」です。パスワード設定で一度うまくいかず、
イライラした——その小さな失敗が「自分には向かない」という思い込みになっているだけ。
車の運転も、最初は誰もが怖かったはずです。ITも同じで、慣れの問題です。
◆ では、どうすればよいか
- 全部やろうとしない。今月は「1つだけ」。1日5分でも触れば、それで合格です。
- 覚えない。手順は便りや常設マニュアルに置いてあります。毎回見ながらで構いません。
- つまずいても焦らない。たいていの操作は、スマホで言葉を検索すれば答えが見つかります。一度閉じて開き直すと直ることも多いです。
- 失敗を恐れない。ボタンを押して壊れることはまずありません。触って慣れるのが一番の近道です。
▶ 今月の一歩: Google にログインして、ドライブの中の書類を1つ開いてみる。これだけでOKです。
02
使い方マニュアル(いつでも別タブで)
常設ページ
Google Workspace と Slack の使い方を、IT が苦手でも分かるように一枚にまとめました。困ったらここを開けば大丈夫です。
パソコンが苦手でも、書いてある順番どおりに指を動かせば必ずできます。
「なぜ使うのか・使わないと何が困るのか」から、ログイン3手順・Slackの部屋の考え方・困った時の対処まで網羅。
▶ 使い方マニュアルを開く(別タブ)
※ このボタンは毎号の冒頭にも置きます。いつでもここから開けます。
03
自社でDX・AIで自動化できる仕事
省人化のヒント
「人手が足りない」を、機械と仕組みで補う。お金をかけずに、まず手をつけられるものから挙げます。
| 今、手でやっている作業 | 自動化・効率化のしかた | 効果 |
| 各店の売上を毎日まとめる | POSのデータを Looker Studio(無料)に自動でつなぎ、グラフで自動表示 | 集計の手作業がゼロに |
| シフト表づくり・共有 | スプレッドシートで全店共通フォーマット。各店が同じ表に入力 | 転記ミスと電話連絡が減る |
| 口コミのチェック・返信文 | 新しい口コミを自動通知。返信文の下書きを AI に作らせる | 評価対応が速く・楽に |
| メニューの英語・多言語表示 | AI(無料の翻訳・ChatGPT等)で多言語メニューを作成 | インバウンド対応が即できる |
| 求人の文章・SNS投稿づくり | AI に下書きを作らせ、社長は直すだけ | 1本15分が3分に |
★ 進め方のコツ:
いきなり全店ではなく、まず「風の杜」など1店でお試し。うまくいったら他店へ広げる。
この「1店で試す→横展開」が、現場が一番ついてくる方法です。
▶ まず試すなら: 1店だけ、毎日の売上をスプレッドシートに記録し、グラフにしてみる。「見える」だけで打ち手が変わります。
04
展示会情報 & 仕入先見直しのコツ
原価を下げる
原価高騰の今こそ、仕入れの“当たり前”を見直す好機。展示会は、新しい食材と安い仕入先に一度に出会える場です。
◆ いま申込める展示会(仕入れ目的で歩く)
| 展示会(クリックで公式サイト) | 会期・会場 | 注目ポイント |
たべるーとEXPO 2026 ▶ 国産食材の商談会 |
2026年7月13日(月)・14日(火) 東京都立産業貿易センター 浜松町館 |
全国200社超の生産者が直接出展。卸を通さず小ロットから仕入れ相談。来場登録は無料。県外の安い直販ルート開拓に最適 |
ラーメン産業展 in Japan 2026 ▶ (FOOD STYLE JAPAN 同時開催) |
2026年9月30日(水)〜10月2日(金) 東京ビッグサイト 東ホール |
国内最大級・ラーメン業界専門。麺・スープ・具材・タレ・設備が一堂に。値段交渉と新メニューの宝庫 |
髙瀬物産 提案会 ▶ (TAKASE FOODSERVICE EXPO 等) |
全国各地で随時開催 最新日程は公式サイトで確認 |
業務用食品・酒類の総合提案会。PB・直輸入など現場で使える選択肢が広がる |
※ 会期・会場は2026年6月時点の公式情報です。お出かけ前に、各展示会名のリンク先(公式サイト)で最終確認をしてください。
◆ 仕入先見直しの“勝ちパターン”
- 既存業者に「紹介」を頼み続ける。「違う食材で、どこか良いところはない?」と何度も聞く。
これを繰り返すと、結果的に県外の安い業者にたどり着き、原価率を大きく下げられた事例があります。
- 県内にこだわらない。県内だけだと選択肢が狭まります。送料・支払条件を含めても、視野を広げる価値は十分あります。
- 交渉の駆け引き:「相場より少し下げた価格」をこちらから提示し、その値で可能なら取引。受け身で見積もりを待たない。
- 展示会は「仕入れ見直しの目」で歩く。これまでは既存取引先への挨拶回りになりがちでしたが、今年からは新しい仕入先を探す目的で回りましょう。
▶ この欄では: 仕入れ見直しに使える展示会・新ルート情報を、毎月更新してお届けします。
05
AIに「お店」を選ばせる方法
集客・インバウンド
お客様は今、Googleや AI(ChatGPT等)に「宇都宮 とんこつ おすすめ」と聞きます。そこで名前が挙がる店になる——これが新しい集客です。
◆ なぜ AI が店を勧めるのか
AI は「ネット上に、正確で・豊富で・新しい情報がある店」を信頼し、人に勧めます。
逆に、情報が古い・少ない・バラバラな店は、存在しないのと同じ扱いになります。
つまり「ネット上のお店づくり」が、これからの看板磨きです。
◆ 今月からできる「選ばれる店」5か条
- Googleビジネスプロフィールを満たす。営業時間・写真・メニュー・電話を正しく・最新に。これが一番効きます(無料)。
- 口コミに返信する。良い口コミにはお礼、厳しい口コミには誠実に。返信がある店をAIは「生きている店」と判断します。
- 看板商品を“言葉”で説明する。「臭みのないとんこつ」「鶏肉入り餃子」など、強みを文章で発信。AIはその言葉を拾います。
- 多言語メニューを置く。英語の写真付きメニューがあるだけで、インバウンド客とAIの評価が上がります(AIで簡単に作れます)。
- SNS・食べログを定期更新。月数回でも「動いている店」は強い。投稿文はAIに下書きさせれば負担は最小です。
★ インバウンドのひと工夫:
メニュー写真に英語を添える/「現金以外も使える」表示/Googleマップの写真を充実。
外国人観光客は「写真とレビューで決める」ため、ここが整うだけで来店が増えます。
06
会社の「骨格」は、社長にしか作れない
経営者の覚悟
外部の専門家は強力な助っ人です。でも、頼りすぎは別のリスクを生みます。
「外部の人間が引っ張る形では、最終的にうまくいかないことが多い。主役は、あくまで社長です。」
◆ 第三者に頼りすぎることのリスク
① 自分ごとにならない
外部が決めた計画は、社員に「やらされ感」が残り、定着しません。腹落ちは当事者だけが作れます。
② 続かない
支援が終わった瞬間に元に戻る会社は、社長が「お任せ」だった会社です。骨格が外注だと崩れます。
③ 判断が遅れる
何でも相談だと、現場のスピードが落ちます。日々の決断は社長自身の軸が要ります。
会社の理念・方向性・「うちはこういう店だ」という芯=骨格は、社長が決めるしかありません。
外部の専門家は、その骨格に肉付けし、支える“サポート役”にすぎません。
うまくいく再生は、例外なく社長が「自分が立て直す」と腹をくくった会社です。
外部は遠慮なく使ってよいのですが、最後に決めるのは社長——この一点を忘れずに。
▶ 今月の問い: 「うちのラーメン店は、お客様に何を届ける店か」を、社長の言葉で一文にしてみてください。
07
社員の「危機感」と「自主性」を育てる
組織づくり
「言わないと動かない」を変えるには、叱るのではなく“仕組み”を変えること。人は、見えると動き、任されると育ちます。
◆ 危機感を“正しく”共有する
- 数字を見せる。「赤字だ」と言うより、店別の利益グラフを見せる方が100倍伝わります。見える化は最高の教育です。
- 不安を煽らない。危機感は「このままだと危ない+でも、こうすれば良くなる」をセットで。希望のない危機感は人を萎縮させます。
- 社長自身が変わる姿を見せる。社長がITや数字に向き合う姿は、どんな号令より効きます。
◆ 自主性を引き出す(任せて、育てる)
- 小さな権限を渡す。「この店の原価率はあなたが責任者」と一つ任せる。役割が人を変えます。
- 小さな成功を一緒に喜ぶ。「先月より原価1%下がったね」を口に出す。成功体験が自走のエンジンです。
- 現場の声を拾い、採用する。提案が採用される経験が「自分で考える社員」を生みます。
- 結果を評価につなげる。頑張りが報われる仕組み(賞与・表彰)があると、自主性は続きます。
★ まず試すなら:
月1回、各店の数字を全員に見せる「見える化ミーティング」を10分でも。事実を共有するだけで、現場の目つきが変わります。
08
後継者(駿翼さん)との対話のしかた
事業承継
「口は達者だが、行動が伴わない」——多くの後継者が通る道です。これは欠点ではなく、伸ばし方の問題です。
◆ 親子だからこそ難しい。だから“型”で対話する
① 感情でなく事実で
「お前はいつも…」ではなく「この数字がこう」と事実で話す。親子の対話ほど、事実が効きます。
② 役割を明確に渡す
「DXはお前がリーダー」と責任の範囲をはっきり渡す。曖昧だと、口だけで終わります。
③ 行動まで決め切る
「分かった」で終わらせず、「いつ・何を・どうする」までその場で決める。これが行動を生みます。
◆ 具体的な進め方
- 仕組みは小さく始める。完璧なマニュアルを待たず、まず社長と後継者で“たたき台”を作り、使いながら直す。
- 学びを後押しする。日商簿記3級ほどの知識があると、数字での会話が一気に進みます。本人もYouTube学習に前向きです。
- 第三者を間に入れる。親の言葉は届きにくくても、第三者からは届くことがあります。顧問の先生など、信頼できる第三者を“通訳”として使ってください。
- 任せて、待ちすぎない。任せる勇気と、動かないときに線引きし直す冷静さ。その両輪で育てます。
親の言うことは聞けなくても、第三者から言われたら聞けた——社長ご自身の実感です。同じ橋渡しを、駿翼さんにも。
▶ 今月の一歩: 駿翼さんと「誰が・何を・いつまでに」の役割を、一度ハッキリ決める場を持つ。